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痛痒≒性感の後編…という名のエロ編です。
R-18ですのでご注意ください。
寝台まで行くことすら焦れったくて、扉を後ろ手に閉めると同時に反対側の手で肩を掴み、少し上に位置する榎木津さんの唇を奪う。
詮方ない事と解ってはいるものの、こうして立ったまま身を寄せ合った時に生まれる抗いようのない身長差と云うか、体格差はやはり少々の悔しさを覚える。別に不平不満と云う程ではない、ちょっとした男の矜持なのだ、僕にだってそういう自尊心くらいある。
そんな瑣末な感情を昇華させるように唇を舌で割り開き温い咥内へ侵入させる。
「ふ、ンン」
鼻に抜ける甘い吐息が耳を擽って、いつもなら陥落に時間のかかる舌が今日は事務所での下準備が効いたものか積極的に絡みついてきた。
榎木津さんは経験がさぞかし豊富なのか、それとも生まれついて才があるのか、はたまた単純に器用なのか、その舌技は正直に云って凄まじい。
舌に力を込めぬままぬらりとこちらのそれを辿り、付け根を擽り側面を撫で、唇と歯の間を潜らせていく手管は喩は微妙ながら軟体動物が一匹口の中を支配している様で、何分でも重ねていたくなる心地よさがある。
そしてこちらも必死に相手の咥内を犯し弄り、舌先が痺れてジンジンと疼く頃、漸く息継ぎにその唇を離すのだ。
「ハァ、榎木津さんの口はこういう時ばっかりよく動くんだから。いやらしいです」
己の快楽を素直に追う榎木津さんを少しからかってそう囁けば、口をへの字に引き結んで頭をぱしんと叩かれた、予想通りに。
腕を掴んで強く引っ張られる。力負けして踏み止まる事も出来ずに榎木津さんの体ごと寝台へ飛び込んで、スプリングの反動で体を揺らしながら押し倒すように彼を組み敷く形となった。
「危ないじゃないですか」
「危ないのはお前の頭の中。妄想で興奮してないで、早く」
直接的なような、遠回しのような。榎木津さんの曖昧な誘惑の言葉に素直に従って先程緩めていたシャツの釦に手を伸ばす。
決してお安くない生地で出来たシャツは指先をさらさらと滑って心地よい。
しかし其処を割り開けばシルクに負けじと劣らぬ血の通った白磁器が露わとなるのだから堪らない。
手の平をひたりとあてて撫でれば、乾いた肌に熱がこもっていくのが分かる。彼は普段あまり汗をかかないが、性交の熱に浮かされた時にはその肌が吸い付くように濡れるのだ。
男女を問わず、対峙する人を陥落させるために存在しているかのような美貌。
「マスヤマ」
吐息に交じって名を呼ばれ、その表情を窺うと、まだ何も直接的な刺激は送っていないというのに焦れったそうな瞳が潤んでいる。
唇が、噛んで、と音もなく動いて。感動にも似た興奮に僕まで泣いてしまいそうになった。
「解りました、加減が出来ないかも知れませんが堪忍して下さいよ」
「あ、…ばか、違」
胸元へ顔を下ろして、尖り始めていた薄桃色の芽に食いつけば、唇にびくんと盛大に跳ねる体の動揺が伝わった。逃がす前に歯を立てた乳首は、何も出ないと分かっているのに続けていくうちに何か甘い媚薬でも染み出しているのではないだろうかと思う程に僕自身をも興奮させていく。
本当に求められていたのだろう項への刺激は、代わりに此方へ注ぐようにその『腫れた』部分を吸って舌で転がし、時折ゆるく歯を立てては榎木津さんの口から零れる色の滲んだ吐息を楽しむ。
体からほぼ完全に力が抜けてしまったのを見計らってようやく顔を上げると、さんざん弄ばれた側の乳首が赤く色づいて見ているだけでもヒリヒリしてきそうだ。
「ァ……馬鹿、わざとやってるだろう」
「貴方がいつも主語を使わないから。僕はオロカモノなんですよゥ、貴方が一番ご存じでしょう」
今ばかりは卑怯者と罵られそうだが、素知らぬ顔で下肢へと手を伸ばす。其処は随分と苦しげに張りつめていて、いつもより格段に早い展開に眉をあげて笑みを浮かべる。
「もうこんなに。榎木津さん、苦しくないですかァ」
「う…るさい、いちいち確認するな変態」
固い布地の上から擦ると、中でトクンと脈打つ振動が伝わってきた。呼ばれるままに前を寛げ、ズボンを引き下げながら下着を押し上げる性器へ顔を寄せる。咎めるとも強請るともとれる力無い声が頭上から降ってきた。
布一枚を挟んでその先端部分へ唇を押し付けると、既に熱を持った肉が下着の中でもう一度跳ねるのを感じた。
「ン…はあ、マスヤマ、熱い」
目を上げれば、肘で上半身を支えて軽く身を起こしている榎木津さんが、目元まで赤く染めて僕を見つめていた。思わず目を細めれば、いやらしい、と呟かれた。
「そんな物に頬ずりしながら笑うんじゃない」
「榎木津さんが色っぽいからいけないんです、それにホラ、おいしそうだ」
指をひっかけて下穿きをずらすと、覗いた陰茎を眺めて挨拶代わりにその幹に舌を這わせた。上から息を詰める気配が伝わってくる。
彼に触れるようになって初めて経験し、また繰り返すようになった口淫は我ながら試行錯誤の成果は表れているように思う。回を重ねるごとに榎木津さんの反応が良くなっているのがその証拠だ。
「ふ…ッア、……ん」
幹を舌でなぞり、雁首の窪みをつついて鈴口を強く吸えば腰がひくりと跳ねる。咥内に少し塩気のある粘液を感じ、その先走りも吸い上げるかのように舌先で撫でれば腰から下がとろけてしまいそうなほど艶めかしく恍惚とした嬌声が上がった。
「ぁは、ますや…アァ、っ…すぅ、吸うな…ぁ」
なんと甘い声だろう。通りの良いテノールが柔らかく溶けて吐息に掠れている。
ピンク映画などでしか聴いたことはないが、女性の空間を切る様に響く嬌声とは違って、榎木津さんのそれは温んだ空気に広がって優しく馴染む。ささやかな音を聴き逃すまいと、いつの頃からか僕は自然と口淫中の水音を極力立てなくなった。
本当はわざとらしい程に濡れた音を強く立てる方が榎木津さんの羞恥心も煽る事が出来るのだけれど、それはこれ以降の行為で取り返すことにしている。
ちゅる、と水分を全て取り上げるかのように最後に水音を立てて唇を離すと、籠められていた力を抜くかのような声が頭上に落ちた。
「は…ます、やまァ」
「……もう…もう、あんたッて人は!」
(当たり前のように間違った)名前を呼ばれてあえかに震える手が頬へ伸びてきて、指先が顎の下を擽りながら親指が濡れた唇を拭うかの様に押し撫でられていった。
僕はそれだけで簡単に愛おしさが振りきれて、何とも意味を成さない叫びを上げて陰茎の側面部に獣のように噛みついた。
「ひッ、ぁ、ああ!」
勿論傷なんてつけないように、ちょっと其処の弾力を感じる程度のものではあったが、僕の犬歯はそこだけ少々突出していて、鬼歯とまではいかないまでも、その八重歯が不自然に陰茎に痛覚を与えたらしく、榎木津さんは上ずった悲鳴を上げてそれはそれはあっさりと―――吐精なさった。
「アァ、酷いなあ榎木津さん。髪にもついてべとべとですよゥ」
「ば 馬鹿ッ…誰のせいだと」
「ちょっと痛いくらいのが好きな榎木津さんも同罪です」
原因と云われれば確実に僕の所為だけれど、導因となればそれは榎木津さん自身の所為だ。
優しいだけの愛撫より、多少の荒さや痛みを伴う方が好いなんて、何て好色な体だろう。本当に、堪らない。
頬に垂れる白濁とした精液が冷える前に指先で拭いながらちらと榎木津さんの表情を窺えば、唇を軽く噛むように引き結んできつく顰められた眉、剣呑どころか艶めかしさしか感じられないながらもそれは悔しくて堪らないのだろうと想像を巡らせることは出来た。
「怖い顔したって無駄ですよ。だってアンタ、悦いと僕を呼ぶんですもん」
ますやま、と。
それは厳密には僕の名ではないけれど、榎木津さんの声は他の誰でもない、僕を呼ぶ。
「ね、榎木津さん。痒いでしょう、疼いてますよね」
射精して少し萎えかけている陰茎の先端を舌先で清めながら白く汚れた人差し指を更に下へと下ろす。
ぬる、と蟻の戸渡を撫でれば膝がヒクリと引き攣るのが目の端に見えた。
「ば、ます、馬鹿!」
「思う存分掻いてあげましょうね、僕は奉仕しか知らない従順な下僕ですから」
止める暇など与えずに、ぬ、と其処へ押しつけた指先が潜り込む。中は熱く、入口で第二関節辺りが忙しなく締め付けられる。
精液でぬめる人差し指は侵入だけは容易い。しかし始めの数分だけは彼の体が異物に慣れるのを待つため小刻みに揺らすのみ。
「…ぃう……、んン……ッ」
ここまでくると榎木津さんの中では恥ずかしいなどと云ってられる状況ではなくなるらしい。異物感をやり過ごそうと榎木津さんは自ら陰茎を掴む。半立ちのそれへ手淫を施し、僕の目の前でそれは再び力を取り戻していく。
勿論羞恥は感じているのだろう、耳まで赤くなり眦には薄らと涙すら滲ませ目を閉じたまま、それでも体が快楽を思い出すまでを只管自らの手で高めていくのだ。ただ、僕を受け入れるためだけに。
僕はその姿が何より愛しくて、先に射精させると榎木津さんが僕を受け入れるまでに随分と無理をしなければならないと分かっていながら、何も気づいていないフリをしていつも榎木津さんの自慰を望んでしまう。
愛などと綺麗な言葉で表せない、卑怯で猥雑な衝動。
「ぁ…ます、やまぁ」
埋めた人差し指に感じていた動かせないほどの締め付けはいつの間にかなくなっていて、代わりに呼吸するかのように柔らかく収縮する入口へ、今度は中指も添えて押し込む。やはり抵抗は少なくて、榎木津さんの体が完全に僕に明け渡されたことを知る。
「榎木津さん、どこです?痒いところ、あるでしょう…僕に教えてください」
「は……こ…ここ。ッうぅ……ひ、」
指を動かさずに問えば熱に浮かされた眼差しを向けてくる榎木津さんが膝を立てて腰を揺らし、前立腺に中指の爪が当たる様に身を捩じらせる。
その痴態に僕は目の前が真っ赤になる。興奮に喉はカラカラだし、未だ寛げてすらいないズボンの中では痛みを覚えるほど固くなった陰茎が下着の中でドロドロと先走りをたらし続けている。
ズル、と勢いよく二本の指を引き抜けば息を詰めて榎木津さんが喉仏をさらす。仰け反った拍子に鈴口からトロリと残滓が零れ、その先端を再び口に含んで今度は無遠慮に薬指も足した計三本、一息に奥まで突き込んだ。
「ひ、やぁ!あッ、ァ…」
「此処ですか、腫れてますよ、こりゃあ痒いですよね、あぁ熱まで持ってますよゥ」
ぐちゃぐちゃと空気を含んで響く水音も気にならぬほど、榎木津さんの嬌声が僕の耳へ届く。
僕自身も呼吸が乱れて過呼吸にでもなってしまいそうに息苦しい。左手でもたつきながらもベルトを外し、焦れる指先を叱咤しながらズボンを下ろすと下着のなかでぬるぬると滑る陰茎が早く其処へ入りたいと泣いている。
指を内部で掻き回すようにバラバラに暴れさせながら膝立ちに榎木津さんの下肢から離れる様に起き上がれば、榎木津さんは頬を涙で濡らしながらそっと目を細めた。
「アァ、あ…ます やま…ッおい、で」
両腕を僕に向けて、抱き締めろと強請っているような、抱き留めてあげると待っているような。
「榎木津さん、榎木津さんっ」
指を引き抜きながら切羽詰まった声で馬鹿の一つ覚えの様に名前を呼び、感極まって滲む涙なんか二の次にほぼ真上を向いて勃起している自身を濡れた指先で倒してただそこへ突き入れたいと切願して、僕は彼の腰を掴む。
「う…んん……っく」
「あッ…は、ぁ…」
きつい締め付けに腰を震わせながら浅く引いては少しずつ沈めなおし、僕の腰と榎木津さんの尻がひたりと合わさった時には互いに深い吐息が漏れた。
きゅう、きゅ、と一定のリズムをもって締め付ける入口と、押し出したいのか引き込みたいのか内壁がぬるりと揺れて、あまりの快感に脳が焼き切れる。
「ふぅ、あッ!ま、ますッやまぁ!」
榎木津さんがもう一度息を吐き、次に空気を吸った処で、ズ、と埋めていた陰茎を八分ほどまで引き抜いてまた奥まで勢いよく付き立てる。希望通り、吐く息に驚き混じりの悲鳴が上がって自然と口角があがるのを自覚する。
肌がぶつかる音がパチン、と響く。下手くそな拍手の様に半端な音になってしまうのは僕の下で榎木津さんが無理に身をよじるせいだ。そんな抵抗などで僕からは逃げ出せないのに。
神は何にも囚われる事はないが、何からも解き放たれる事はないのだ。そこに愚かな信者が縋っている限り。
膝を榎木津さんの足の下へ潜り込ませて腰を両手で掴むと、細くも美しく整った筋肉の形を浮かび上がらせて腰を仰け反らせるような体制を強いる事になる。
濡れた睫毛が震えて、その奥から色の濃くなった鳶色の瞳が正に溶け出さんばかりにまで情欲に濡れている。
「アァ、あ、っんん…ます、ァッ…い、」
もう言葉もうまく紡げないらしい、喉が引きつる様に断続的な嬌声が漏れて、唇の端から唾液がツゥ、と零れる。我武者羅に腰を打ちつけていれば、いずれ終わりが見えてくる。背筋をゾクゾクと走る快感が腰に溜まって、それを榎木津さんの最も深い場所に残してやろうと脚を抱え上げて身を折る様に前のめりになれば、もはや音の集合体でしかない喘ぎ声の中、りゅういち、と呼ばれた気がして、腹にかかる熱い液体を感じながら僕は榎木津さんの頬に涙を一滴落として直腸内へ精液を注ぎ込んだ。
オチが全く思いつかないので射精エンドです(最低だ
エロスと云うものが実のところ大の苦手で、でも口淫や前戯辺りまではいつもさくさく書けるのに、と今回修行のつもりで痛痒後編エロ分続けてみたのですが。
解りました。末っ子解った。末っ子、挿入以降が苦手のようです。
其処までは楽しいんです。ニヤニヤしてます。無駄に妄想膨らませてます。しかし、いざ本番となると途端に想像力が枯渇するようです。困りものです。
とある憧れの方がこちらを知っていてくださったその興奮で書ききったようなものです。
結局完成まで数カ月要してますが、また発作的にエロ練習していきたいと思います。。。
無駄に長いのに最後まで読んでくださってありがとうございました!!!
どうでもいいNG。
『分泌の増す唾液』、と打ったら、『分泌の益田駅』という大変ニヤニヤしてしまう意味不明な変換ミスが生まれました。笑えて気が散るのでカット。