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主に小説、時々絵更新予定の腐向けブログサイト。
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お題サイト 殯:www5.pf-x.net/~ppqq/k/
えのきづれいじろう、で9のお題をいただきました。
まずは第一弾「え」より『えゝ詰る所、』


繊細で美しいからと言ってそれが脆く壊れやすいかというと、その限りばかりではない。
もちろん人間という生き物は知恵や技術がある代わりに野生の動物のように本能や身体能力に長けているわけではないので、いざ危機に直面した時は驚くほどあっけなく死んでしまうのだけれど。

「馬鹿だなお前、人間だけじゃなくてどんな生き物だって死ぬ時は死ぬ、死なないときは死なない!」

そう声高に宣言する麗人は、殺しても死にそうにない程生気に満ちた目を細めた。

「そりゃあそうですけど、できれば死にたくないじゃないですか、厭ですよ僕ァ大通りでテロルに遭って死ぬとか車に轢かれて絶命とか、工事現場で鉄骨が降ってきて生涯の幕を閉じるなんてのは」
「当たり前だ、僕だってそんなのは厭だ。だからと言って外へ出れば頭の上を気にして、すれ違う人々に怯えて、車が通る度頭抱えて蹲るのかこのバカオロカ。馬鹿で愚かな振る舞いをする気なら外で僕に声をかけるんじゃないぞ、仲間だと思われるのは御免だ」

右手があっちへ行けとでもいうように振られる。
切って捨てるものの言い方に無駄は承知で唇を尖らせて非難めいた目を向ける。

「そんなことしませんよゥ、ただ僕は人生何があるか分からないから警戒心は忘れちゃいけないですよねって、そう云ってるだけじゃないですか」

前髪が落ちてくるように首を振ればその弱々しい印象を与えられる筈の僕の顔を見て、探偵は顔をしかめる。

「そのうっとうしい前髪ごと脳味噌も捨ててしまえ、在るばかりで役に立たないのなら必要ない!」
「ええぇ、だからどうしてそうなるんですかァ!僕変なこと言いました?」
「自覚がないのがなおさら愚かだな。警戒したところでそれが行動に伴わないのなら心配して怯えたって無駄だ。それに事故や犯罪が危ないから外に出ないぞ、と決めたところで地震が来て家が潰れたら死んじゃうだろう、お前のことだから野犬に襲われて死ぬことだってあるかもしれない」

酷いです、と言えば優しく説明してやってるじゃないかと返される。
ギシ、と椅子をきしませて立ち上がった傍若無人な神が探偵机を回りこんで僕の座る接客用のソファの前に立つ。
上背のある美形が腰に手を当てて仁王立ちしながら見下ろしてくるのに、その迫力に圧されて知らず裡に肩をすくめてしまう。

「危険だけじゃないぞ、人間はこれから起こることを知っていたって自分の能力以上の出来事には反応できないんだ。マスヤマ、接吻をしてやろう」
「え」

腰を曲げて顔を近づけてきたと思えば、唇の端を釣り上げてそれはもう愉しそうな笑みを浮かべて、宣言通りに唇を押しつけてきた。
僕はと言えば宣言に対して呆けた声を出してしまったせいで唇が薄く開いたままで、それを機と取ったか熱くて柔らかな肉がつるりともぐりこんできた。
歯列を辿りながら唇を舐める濡れた感触にぞわりと背筋に奇妙な快感が走り、喉がひくりとひきつる。

「…どうだ、先に言ってやっても抵抗も承服もできないじゃないか」

唇が離れると、悪戯の成功した悪餓鬼のように目を輝かせて僕を覗き込む彼に、僕の方はほんの数秒で耳にまで灯った熱さえ逃しきれずに俯く。
未だ笑ってるだろう探偵が床に膝をつくところが視界に入った。

「それに何より、僕は神なんだぞ」

顎に白い指が掛けられたかと思うと、半ば無理やり上向かされる。先ほどより距離が近く感じられる二つ身は、自称神が僕の背中へ片腕をまわしているせいで。

「生死の危機なんて、神である僕の意志一つでどうにでもなるのだ。だからお前は、安心してなさい」

もう一度、今度は幾分優しく重ねられる唇に、これは僕も目を閉じて受け入れるだけの余裕ができた。
たとえそれがどれだけ無茶なことで、確証もなにもないことだったとしても、彼の口から紡がれたというだけで何よりも信頼に足るものだと僕の頭はすっかり刷り込まれてしまっている。

えゝ詰る所、生死どころか人生まるごと、僕は目の前の神様に委ねてしまっている。









榎益くさいですね。何故か無性にラブラブがやりたかったのです… 
いろんな人達と榎さんの話が書けたらいいなあと思いながら、益田が多くなりそうな予感がする…
全部書けたらいいなあ …


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