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主に小説、時々絵更新予定の腐向けブログサイト。
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久しぶりに文章です。短めでバカッポー。

「ああ、榎木津さんちょっと待って」

不意に呼びとめられて、たまたま気が向いたので振り返る。僕を呼ぶ声がいつもの慌ただしさのない、何だか余裕のあるものに聞こえたからだ。

「なに」
「子供みたいだなあ、ご飯粒が付いてますよ」

指をさされてその先を目で追うと、成程確かにタイにご飯粒がくっついている。指先でピンと弾いて終わりとばかりに踵を返そうとすると、今度は少し咎める色を滲ませた声が上がる。

「まだ付いてますよ」
「面倒臭いな、取って」

往来でも構わず腰に手を当てて仁王立ちになれば眉を寄せながらもつり目を細めてケケケ、と得体のしれない声をあげて笑う。

「ご自分の所為なんですから僕にあたらないで下さいよゥ、ほんとに大きい子供なんだから」

保護者の様に偉そうな言葉を云われるままに放っておけば一歩二歩と僕達の間の距離を縮めて大人しくタイに指を伸ばす。
細いけれど思ったより大きな掌が臙脂のタイを撫でる。ころころと白い飯粒が落ちていく様子が、まるで鱗のようだ。
ふと目の前の黒い髪にアクセントを見つけて、おや、と思う。

「お前、どういう食べ方をすればそんな所に米粒が付くんだ」
「へ?…う、わわッ」

耳のすぐ後ろの辺りの髪にくっついていた米粒をつまむとびっくりしたにゃんこのようにぶわ、と髪が浮いた。目の前に差し出してやれば不思議そうに首をかしげている。

「二口女みたいじゃないか、このあたりに口が隠れているのかお前は」
「ありませんよ僕ァ立派に人間ですから、…でもおかしいな、そんな所に何で、……」

不意に何か思い当ったように眉が上がり、一度ちらと僕を見上げたかと思うとそのまま顔が見る見るうちに赤くなって俯いてしまった。この照れる様子や驚く反応はいつも素を感じられるから、嫌いじゃない。

「何だ」
「さっき事務所で、そのう。……榎木津さんの胸をお借りした時かと」

通り行く人達に聞かれたくないのか、ただ純粋に恥ずかしいのか。消え入りそうな声でもそもそと呟く頭頂部を見下ろしながら、ああ、と思いだす。
確かについさっき、そんな雰囲気になった時にこの男が身を凭せ掛けてきて、僕もそれを抱きとめた。あの時にくっついてしまったもの、とそう云う事なのだろう。
何度か耳の後ろを撫でつけて他に痕跡がありはしないか探している手首を戯れに掴むと、驚いた表情の赤い顔があげられる。
にんまりと笑って、そのまま体を反転させて歩き始める。後ろから動揺した声が制止を求めても今度は聞いてやらない。

「その顔が元に戻る前に皆に見せてやろう!京極の所に今日は鳥ちゃんと猿も来ている筈だッ」

泣き出しそうな声で悪趣味ですやめて下さいよゥと頼まれても、それはもはや僕の機嫌を高める以外の効力は持っていなかった。




素の益田が大好きな榎さんwww
関口とか京極とか実は繊細な木場とか、榎さんは自分と対照的に闇部分を抱えてる人とか、知ってる人に惹かれる性質が多少なりとあるんじゃないかなと。
9割近く自分の関わる事で狼狽を露わにする益田が愛しくて嬉しくてとかだと堪らないです。要は自慢したいのです。益田を見せびらかす榎さん萌え。

久し振りなのと睡魔と時間切れで短め。




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